◇No.1
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人生の酸いも甘いも、幸も痛みも、楽も苦労も知ったその手は、幾重にも皺が刻まれている。その手にまだ皮脂が滾っていた頃は、激情を二輪に乗せ風を切った事もあるのだろう。(04/10/24)
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ハーヴェイ・カイテルとウィリアム・ハートのやりとりが、時計の針を静かにゆっくりと進ませた。見始めて少ししたら、前に見た事のある映画だった事に気がついた。知る事のない気質、燻らす男同士の人情味を垣間見て焦がれる、ふと、男に生まれてみたかった…なんて思った。私の好きな、しゃがれた男声、後ろでよく知っている曲が流れていた。毎日、昨日とは違う一日。『時』って、味わうためのものかもしれない。(04/10/19)
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影絵のついたグラスにひとつ、青く小さな姫林檎。外が嵐だなんてこと、まるで嘘の様な園、暖かなそこは、音の園。(04/10/09)
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白地に水色の線の入った、雨の江ノ電に乗って一駅。あったかい4畳半の場所へ。みんなの顔がにこにこ。秘蔵のビデオをお土産に、傘をぶらぶら、江ノ電ゆらゆら。(04/10/03)
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心静かに.....けだるい体にまかせて、手探りであさる。夕暮れから宵にかけてを、秋から冬にかけてを、熟れた果実の芯周りの蜜を、思慮深い更年期を、底から香る貯蔵酒を、過ぎゆく傷ついた優しさを、暖かく色づいてゆく紅葉を、枯れ逝く物を朽ち果てるまで愛でる。心安らかに.....けだるい時間にまかせて、うっとりと目を閉じる。私の好きな、そこはかとなく落ち着く、なんとも味わい深い儚さ。(04/10/01)
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らうるが月の旅から一時的に帰星した。かつては、首筋の巻き毛がかわいらしかったのだが、見ればサボテンの如く剃りあがっていた。そしてどことなくスノッブな空気を漂わせていた。そうか、しばらく見ない間に、また少し知ってしまったのだね、この世界を…。胸がチクリと痛んだ。
黒く細長いワイルドライスを、不思議そうな顔をして10センチの近さで眺めたかと思えば、ニョッキを食べながら「この団子、美味い」とぎこちない笑顔を向けてきた。
「…父さんは、どうしてるの?」「…相変わらず、クレーターを灰皿に、マルボロな日々さ」
唇噛んで、見上げては、刻む文字。あぁ、月影に、消えぬ間に。(04/9/30)
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アマデリアだっただろうか、哀愁ある旋律が綺麗な曲が流れる。幼い頃の憧れの、まるでホワイトチョコレートの様な白いピアノ。(04/9/29)
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愛した人にさえ隠してしまう自分の中の越えられない壁。恵まれて育った感性なんかより、深く壮絶な感性に触れたい。歪んでいたって構わない、深みが欲しい。(04/9/28)
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大人なふりをするのって、こんなにつらい事だったんだ。ほんとは、大人なふりを通せるほど、強くない。でも、年々、大人なふりをしなくちゃならない場面は増えてゆく。(04/9/27)
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遠くの夜の余韻。感動のある人生は、みんながいてくれたから。ありがとう、出会えたひとたち。(04/9/25)
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