非 黙示録。

なぜ人はたくさんの思いを胸に、流れ流され、
其々の顔と其々の生き様、それでも保持しつづける?
時々、生きることは、人である限り避けられない罰なのかと、思ってしまう。
私は宗教は入ってないし、入らないし、人が元来罪深いものとも思わない、
だから生きることって逆に、理不尽な罰なのかと、思ってしまう。
生とは、冤罪。
ううん、その考え自体、甘えている。
こうして私は弱い自分に甘え、言い訳をしている。けれど。

「元気?」 耳にするたびに、その言葉は虚ろに響く。
空虚さが益した胸の奥、濁った青い雫が滴り落ちる。
元気ってなに?見た目は普通に歩いて会話して。
それでいてそうじゃないなんてなかなか言えない。
元気という言葉、私はもう使わない。簡単に使ってはならない。
その言葉を安易に発してはならない。


歪な物ほど、偽りのない姿を晒しているかのような模型風景の街。
昔、組んでた社会人バンドの人がこんな曲を歌っていた。
この街に散らばる悲しみの欠片に気づかずに歩く人にはどうかならないで
どうかその笑顔をなくさないで・・心閉ざさないで・・忘れないで・・
たくさんの願いのこもった歌だった。

金木犀の香りがふと風に運ばれた瞬間、立ち止まる自分でいたい。


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